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理事長就任の御挨拶

理事長挨拶

日本CT検診学会 理事長 中島留美

日本CT検診学会 理事長 中島 留美

 2020年(令和2年)2月、中川 徹 前理事長の後任として日本CT検診学会理事長を拝命いたしましたので御挨拶申し上げます。滝口 裕一 副理事長、村松 禎久 副理事長をはじめ21名の理事、2名の監事の先生方、事務局クバプロの方々に御指導賜りながら、「低線量CT検診」を適切な形で全国、全世界に広めていくため尽力して参りたいと存じます。

 私と「低線量CT検診」との出会いは、低線量CTを世界に先駆けて肺がん検診に導入した「東京から肺がんをなくす会」(東京都予防医学協会)と、日本で初めて職域検診に導入した日立健康管理センタを視察させていただいた2000年(平成12年)9月のことでした。低線量CT検診の有効性を高め、問題点を解決するために、検診成績や新しい技術について研究し、それを発表する場として1994年に発足した「胸部CT検診研究会」の存在を知ることとなり、当時の研究会事務局長であった「東京から肺がんをなくす会」の三澤 潤 氏(本学会名誉会員)から研究会誌を頂戴して、即、入会いたしました次第です。
 自施設で開始した胸部CT検診方式や検診成績を2002年に新潟で開催された第9回胸部CT検診研究会大会で発表し、論文にまとめて研究会誌に投稿いたしますと、「低線量CTによる肺癌検診のあり方に関する合同委員会」の先生方が、その論文を肺癌取扱い規約改訂第6版で低線量CT検診撮影関係の参考文献の中に加えて下さいました。
 以後、継続して学術大会、読影セミナーに出席し、読影技術を習得するだけでなく、検診運営、精度管理、禁煙指導の方法についても学んで参りました。故 繁田 正子 先生が作成なさった禁煙指導のパンフレットは、今でも検診業務の中で使用させていただいております。
 2005年から従事することになったPET-CT検診においても胸部CT検診研究会で学んだことを活かすことができました。CTにてGGOを呈する細気管支肺胞上皮癌(上皮内腺癌)ではFDG集積が乏しいことから、PET-CTによるがん検診に深吸気呼吸停止下での低線量胸部CT検診を併用することの必要性や、胸部CT検診研究会で作成された判定基準を採用すべきこと等を「臨床PET推進会議検診分科会」にお伝えし、「FDG-PETがん検診ガイドライン」(第2版、第3版)の執筆に関わらせていただきました(https://jcpet.jp/.assets/FDG-PETがん検診ガイドライン2019版.pdf)。

 2006年、「胸部CT検診研究会」は「日本CT検診学会」へと名称および制度改正を行い、低線量CT検診の対象臓器も全身に広がりました。2009年には肺がんCT検診認定機構が設立され、医師、技師の認定制度が発足し、2018年からは施設認定制度も始まり、検診の質の向上、標準化への取組みが着々と進んでおります。その一方で、超高齢社会となった日本においては、今後、人工知能(AI)、ゲノム診断、Presicion Medicine等の普及に伴い、受診者の年代や環境、背景に応じた適切な検診のあり方も議論していかなければならないと考えております。

 2020年は新型コロナウィルス(COVID-19)の急激な感染拡大で、未だかつてない試練の年となりました。生き方を見直すきっかけは、検診により現状を把握することから始まります。よりよい未来を創るために、本学会会員の皆様、関連諸企業の皆様と共に、国民の適切な行動変容、ヘルスリテラシーの向上に貢献できるような学会を目指して参りたいと存じます。
 今後とも御指導、御協力賜りますよう宜しくお願い申し上げます。